心と体の痛みのお部屋 管理人エリーの日記です。


by elly_mylove
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エコ科学について

先日私の稚拙なブログにトラックバックしてくださった森一仁先生のブログに、トラックバックのトラックバック。
お笑い医学小史、そうなんだなあ、とちょっと面白かった。

我が家では、よく科学が進歩した先に行き着くところ。。。
エコ・科学(勝手な私のネーミング)がよく話題になるのだった。



実は我が家の夫は学者なのだ。所属はくわしくいえないのだけど、環境工学という学問を専攻している。
このいかにも聞こえのいい今風の名前の学問は、かつて土木工学といわれていた。
あまりにどろくさいので学生がちっとも集まらず、10年くらい前に学者さんたちの間で勝手にCIが行われて、環境工学と呼び習わすようになった。

昔、私たちが結婚したばかりのころ、彼は水辺の環境を研究していて、しきりにダムだの堰だの、いつも何かをつくる研究をしていたものだ。そのころはバブル華やかりしころで、土木業界はお金が沢山あって、いけいけどんどんで建設会社は儲かっていたので、研究室にもたっぷりとお金があった。

ところが、仕事でオーストラリアに何度も滞在するうちに、あの国の自然環境のよさに目覚めて、10年位前だったかなあ。突然趣旨替えして、何もつくらない研究をするようになった。

水辺の環境を整えたり、飲み水を確保したりするときに、アプローチとして今までは2種類あった。
大掛かりな工事を行って、ダムだの堰だの川の岸辺に護岸だのをつくるもの。
これは医学でいうと、ちょうど外科手術にたとえられるものだろうか。

もうひとつは、お水を浄化するためにちょっとした化学物質をつかったり、特殊な中和装置をつくったりするもの。こっちは、化学療法みたいなものかなあ。

最後のひとつは、今夫が手がけているものなのだけど、バイオマニュピレーションといって一番新しいやり方で、生態系を使って美しい自然環境を整える というもの。

たとえば美しい湖には、表面に適正な量の植物プランクトンがいて、少し下の層にはそれを食べる動物プランクトンがいて、もっと下にはそれを食べる小魚がいて、次に大魚がいる。。というふうに、美しい湖特有のバランスのとれた生態系ピラミッドがある。
そうして、やはり汚れた湖には、汚れた湖にふさわしい生態系があるのだけど、それはとてもゆがんでいて、ピラミッドになっていない。

水辺の環境を整えるには、大掛かりな外科手術や、科学療法をやらなくても、美しい湖にあって、汚い湖にないものを、汚い湖に足してやればいい。。。大雑把にいってしまえばそういう考え方で、生物学と工学がジョイントで研究をして 何かをなるべく作らないプロジェクトが、今新しいトレンドとして 静かに世界中でトライされているのだった。

残念ながら、こういう研究は、何かをつくるプロジェクトと違ってお金を産まない。雇用もあまり促進しない。で、今不況の日本ではなかなか予算がつかなくて、ここ数年ほど我が家は、「研究費のスポンサーを求めて3千里」の旅に出て外国暮らしが多い。それも、自然保護にものすごく意欲を燃やしている美しい観光立国に行くことになる。シドニーでの4年間の暮らしも、そのひとつだった。

科学が進歩してくると、どこの分野でもこんな風に、一種の自然回帰が行われるような気がする。
大掛かりなことを、あまりやらなくなるのだ。

医学も多分そうなんだろう、と思う。

その昔、結核が不治の病だったころ、胸部外科がひとつの医学部にいくつも研究室をもっていて、肺を切り取る手術が盛んに行われたそうな。
今は結核は、ツベルクリンでほとんど予防できるし、たとえかかってもよく効くお薬でたいていちゃんと治るんじゃないかしら。

そのうち椎間板ヘルニアも、痛みの生理学がもっと進歩して、それが社会的に認められてくると、手術が行われるのは、ごくごく例外的な症例になってくる。。。という種類の病気になるような気がする。

無駄な手術が減ってくると、慢性の疼痛に苦しむ患者さんは、きっと激減することになるのだろう。

そうなるといいな。

ヘルニアの矛盾というコラムを、日本でたったひとり(?)いつもがんばって書かれている 加茂先生のブログと、患者側にあって、健常者側にないもの。。というコメントがピリッと効いた、long-field先生のブログにリンクします。

先生、研究がんばってね。期待してます♪
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by elly_mylove | 2005-12-08 11:55 | 日々のつぶやき