顎関節症について
2005年 11月 18日
昨日のことだったかな。
本当に久しぶりに、顎関節症の大きなサイトを開いて、掲示板をしばらく覗いてみた。
いつもこの掲示板は、活発といったらいいのか。荒れているといったらいいのか。
人様のサイトの掲示板で、おせっかいは言ってはいけないと思うのだけど、
いつものことながら見るたびに暗澹とさせられるやりとりでいっぱいだった。
いったいどうしてこんなにこの病気の治療は混迷を極めているんだろう。
患者のひとりとして、そう思わずにいられなかった。
それはとても有名なサイトの大きな掲示板で、顎関節症の患者さんもいれば、
ほとんど常駐しているといっていいほどの歯医者さんもいる。
私が暗澹としてしまった内容というのは、善意で書き込んだ歯医者さんが 患者さんから
攻撃的な内容のレスを返信されている事だった。
ここで人様の掲示板を面白おかしく蒸し返すというつもりはないし、
私は医師ではないので勝手に診断をすることも出来ない。
けれども、シドニーでこの病気の治療を受けて寛解した患者のひとりとしてあまりにも
びっくりしてしまったので、どうしても、誰かに話したくなって書いてしまうことにした。
ごくごくおおざっぱな内容を簡単に書くと、
顎関節症は 後頚部の筋肉の慢性疲労症候群のひとつと考えられるから、
そこの筋肉の緊張がとれて痛みがとれ、日常生活ができるようになれば 治ったといえるのではないか。。とかなんとか、そういうコメントに関して
何をもって治ったというのか。少なくとも治ったというからには、
完全にスムーズに口の開閉が出来るようになり、痛みが完全にとれ、
クリック音がしなくなる、この3つがクリアされない限り 顎関節症が治ったとはいわないのではないか。。。という内容のコメントが患者側から書かれていた。
私が仰天してしまったのは、この考え方だった。
人様の考え方にケチをつけているのではない。ただ、この病気がこれほど完璧な価値基準をクリアしないと治ったとはいわない、と考えられるようになったのは、
顎関節症をかみ合わせの問題として捉えて、
何十万もかけて矯正したり、自由診療で咬合調整をして治す、という治療法から来ているのではないかしらん?と疑問に思ってしまったからだった。
私は今、自分が顎関節症の患者だった、ということははっきり言って普段あまり意識していない。でも、完全に口の開閉がスムーズになった事もないし、痛みが完全にとれたこともない。
クリック音は、常にとまでいわないまでも、りんごをかじったり、大きな口をあけてものを食べるといつもする。緊張したときも、生理の前も顔や舌が痛くなるし、夜中に食いしばると、朝首も痛ければ肩も痛い。顎関節症発症以来、こういう症状はいつも私について回って、一度も消えた事がない。
そういう風に言えば私は、典型的な顎関節症で、この完全治癒の基準から言えば全然治ってはいないのだけど、もう何年も顎関節症のために歯医者さんには行っていない。スプリント(マウスピース)も、すればかなり楽になることはわかっているのだけど、虫歯が増えるので、もっとずっとつらくならなければやめよう、と決めている。痛みに慣れてしまったということも歩けど、痛みに執着しないで生活を送れるようになっているし、これで家庭にも社会にも復帰しているので もう気にならないのだ。というか、おめでたくも、これで私は治ったつもりでいたのである。
口の開閉のスムースさや、痛みはともかく、クリック音が消失すること。。なんて、いったいどうしてそんな事を気にするのだろうか。クリックどころか、テーブルを囲む人全員がびっくりするほどのカキーん、という金属音がすることすらあるのに、私は気にした事がない。
顎関節症の患者さんの書き込みを見てみると、歯のかみ合わせが悪いために 顔も首も痛く、ときには 腕が上がらない。と書いてあるものもあった。
そのために一流の歯医者さんに、新幹線で通うという。
腕があがらないのは、肩こりじゃないんだろうか。歯が悪いから腕があがらないのではなくて、腕を上げる筋肉が弱っているからじゃないんだろうか?
私から見ると それは典型的な慢性疼痛で、きっとペインクリニックに行けばブロック注射が受けられるし、心療内科に行けば 今慢性疼痛の薬物療法に詳しいドクターなら抗うつ薬を処方してくれるような気がする。そういう症状が、すべて歯からくるものではない、と オーストラリアなら認知行動療法の考え方をGPがカウンセリングしてくれると思うし、PTが顎や首や肩の運動で筋肉を緩める方法を教えてくれると思う。
もはやそういう心理状態になってしまったら、歯科の疾患とはいえないと思うのだけれど、
一種強迫的に病態に執着してしまっているような気がするから、やはり精神科の先生の助けが必要と思うのだけど、
その患者さんたちを治療している歯医者さんたちは、どう思っていらっしゃるのだろうか。
患者さんと同じように、すべてが歯のかみ合わせの悪さから来る、と
そう思って引き受けていらっしゃるのだろうか。
シドニーで私を治療してくれた口腔外科医は、この病気は食いしばりによる顎の筋肉の過労からくるもので、
原因はストレスから来る。顎のゆがみそのもの、クリック音などは痛みとは関係ない。と
明確に言っていて、スプリントはかみ合わせを矯正するためのものではなくて、それ以上深くかめないようにして筋肉や関節にかかる負担を軽減する、ショックを吸収するための役割しかない、と明確にいっていたのに。。。。
良心的な先生方を批判するつもりではないのだけど、
怖いもの見たさで この掲示板を見るたびに気持ちがうつむいてしまう。
なんとかならないのかなあ。
本当に久しぶりに、顎関節症の大きなサイトを開いて、掲示板をしばらく覗いてみた。
いつもこの掲示板は、活発といったらいいのか。荒れているといったらいいのか。
人様のサイトの掲示板で、おせっかいは言ってはいけないと思うのだけど、
いつものことながら見るたびに暗澹とさせられるやりとりでいっぱいだった。
いったいどうしてこんなにこの病気の治療は混迷を極めているんだろう。
患者のひとりとして、そう思わずにいられなかった。
それはとても有名なサイトの大きな掲示板で、顎関節症の患者さんもいれば、
ほとんど常駐しているといっていいほどの歯医者さんもいる。
私が暗澹としてしまった内容というのは、善意で書き込んだ歯医者さんが 患者さんから
攻撃的な内容のレスを返信されている事だった。
ここで人様の掲示板を面白おかしく蒸し返すというつもりはないし、
私は医師ではないので勝手に診断をすることも出来ない。
けれども、シドニーでこの病気の治療を受けて寛解した患者のひとりとしてあまりにも
びっくりしてしまったので、どうしても、誰かに話したくなって書いてしまうことにした。
ごくごくおおざっぱな内容を簡単に書くと、
顎関節症は 後頚部の筋肉の慢性疲労症候群のひとつと考えられるから、
そこの筋肉の緊張がとれて痛みがとれ、日常生活ができるようになれば 治ったといえるのではないか。。とかなんとか、そういうコメントに関して
何をもって治ったというのか。少なくとも治ったというからには、
完全にスムーズに口の開閉が出来るようになり、痛みが完全にとれ、
クリック音がしなくなる、この3つがクリアされない限り 顎関節症が治ったとはいわないのではないか。。。という内容のコメントが患者側から書かれていた。
私が仰天してしまったのは、この考え方だった。
人様の考え方にケチをつけているのではない。ただ、この病気がこれほど完璧な価値基準をクリアしないと治ったとはいわない、と考えられるようになったのは、
顎関節症をかみ合わせの問題として捉えて、
何十万もかけて矯正したり、自由診療で咬合調整をして治す、という治療法から来ているのではないかしらん?と疑問に思ってしまったからだった。
私は今、自分が顎関節症の患者だった、ということははっきり言って普段あまり意識していない。でも、完全に口の開閉がスムーズになった事もないし、痛みが完全にとれたこともない。
クリック音は、常にとまでいわないまでも、りんごをかじったり、大きな口をあけてものを食べるといつもする。緊張したときも、生理の前も顔や舌が痛くなるし、夜中に食いしばると、朝首も痛ければ肩も痛い。顎関節症発症以来、こういう症状はいつも私について回って、一度も消えた事がない。
そういう風に言えば私は、典型的な顎関節症で、この完全治癒の基準から言えば全然治ってはいないのだけど、もう何年も顎関節症のために歯医者さんには行っていない。スプリント(マウスピース)も、すればかなり楽になることはわかっているのだけど、虫歯が増えるので、もっとずっとつらくならなければやめよう、と決めている。痛みに慣れてしまったということも歩けど、痛みに執着しないで生活を送れるようになっているし、これで家庭にも社会にも復帰しているので もう気にならないのだ。というか、おめでたくも、これで私は治ったつもりでいたのである。
口の開閉のスムースさや、痛みはともかく、クリック音が消失すること。。なんて、いったいどうしてそんな事を気にするのだろうか。クリックどころか、テーブルを囲む人全員がびっくりするほどのカキーん、という金属音がすることすらあるのに、私は気にした事がない。
顎関節症の患者さんの書き込みを見てみると、歯のかみ合わせが悪いために 顔も首も痛く、ときには 腕が上がらない。と書いてあるものもあった。
そのために一流の歯医者さんに、新幹線で通うという。
腕があがらないのは、肩こりじゃないんだろうか。歯が悪いから腕があがらないのではなくて、腕を上げる筋肉が弱っているからじゃないんだろうか?
私から見ると それは典型的な慢性疼痛で、きっとペインクリニックに行けばブロック注射が受けられるし、心療内科に行けば 今慢性疼痛の薬物療法に詳しいドクターなら抗うつ薬を処方してくれるような気がする。そういう症状が、すべて歯からくるものではない、と オーストラリアなら認知行動療法の考え方をGPがカウンセリングしてくれると思うし、PTが顎や首や肩の運動で筋肉を緩める方法を教えてくれると思う。
もはやそういう心理状態になってしまったら、歯科の疾患とはいえないと思うのだけれど、
一種強迫的に病態に執着してしまっているような気がするから、やはり精神科の先生の助けが必要と思うのだけど、
その患者さんたちを治療している歯医者さんたちは、どう思っていらっしゃるのだろうか。
患者さんと同じように、すべてが歯のかみ合わせの悪さから来る、と
そう思って引き受けていらっしゃるのだろうか。
シドニーで私を治療してくれた口腔外科医は、この病気は食いしばりによる顎の筋肉の過労からくるもので、
原因はストレスから来る。顎のゆがみそのもの、クリック音などは痛みとは関係ない。と
明確に言っていて、スプリントはかみ合わせを矯正するためのものではなくて、それ以上深くかめないようにして筋肉や関節にかかる負担を軽減する、ショックを吸収するための役割しかない、と明確にいっていたのに。。。。
良心的な先生方を批判するつもりではないのだけど、
怖いもの見たさで この掲示板を見るたびに気持ちがうつむいてしまう。
なんとかならないのかなあ。
by elly_mylove
| 2005-11-18 21:56
| 医療について考えること