心と体の痛みのお部屋 管理人エリーの日記です。


by elly_mylove
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日本にも学際的痛みセンターを作ろう。その1


シドニーから日本にあわただしく帰国して、一月半。


忙しさの中にも、ひとつひとつ目の前にあることをこなしていくうちに、 だんだんと日本での生活が好きになって来ました。
最近はあまり日記の更新をする心の余裕がない日々でしたが、 今日は思い切って時間をとって、 私のメインサイトのメインテーマについて
書いてみたいと思います。

少し長い記事になりますので、
何日かにわけて連載の形をとってお送りしたいと思います。おつきあいくださいね。





私が「心と体の痛みのお部屋」というHPを立ち上げたのは去年の8月。

素人の作ったページで、さして大きな宣伝もしなかったのですが、
個人の作ったサイトとして慢性痛をあつかったものはとても少なかったことと、 海外での治療体験を扱ったものとして少し珍しかったので、 かなり医療関係から反響がありました。
そうして、
最初は素人として自分の体験を同病の人に知らせたい、と純粋な個人的なものだったのですが、 今は少しずつ違う色彩を持ってきました。
愛知医科大学と言う大学に
日本ではじめて「痛み学講座」という講座を作られた、 熊沢先生という教授がいらっしゃいます。
熊沢教授は、生理学がご専門で、
長く痛みについて基礎研究を続けてこられた有名な先生で、
今日本に、海外にはたくさんあって、
けれども日本にはまだきちんとした形で機能しているものはひとつもない、

学際的痛みセンター( Multidisciplinary Pain Center)
というまったく新しいタイプの痛みの治療施設をつくろう、 と運動されている方です。

愛知医科大痛み学講座は、HPもありますので、
よろしかったらご覧ください。


学際的痛みセンターというのは

各科が連携をとって、(それこそ、整形とか、外科とか、内科とか皮膚科とか、精神科とか)
長く続く痛みを、もともとの疾患から離れて別の病気と捉えて、
痛みそのものを治療する総合医療センターです。

慢性の痛みを持つ患者さんを社会的に支援して、
社会復帰させて仕事や日常を取り戻そう、という
ちょっと独特な総合外来です。

そこで治療にあたるのは、医師だけではありません。
諸外国では、理学療法士、疼痛治療の専門教育を受けた看護師、
心理学の専門家や、職業コーディネーターなど、さまざまな専門家が疼痛に苦しむ
患者さんのヘルプに当たっています。
この学際的痛みセンターは、まだきちんとしたものは日本にはひとつもありませんが、アメリカには300もありますし、
欧米には必ずあります. 実は発展途上国にもたくさんあります。

日本は、経済大国ですが、痛みの治療の技術と知識では、後進国なのですね。
私が、日本では治らない慢性の痛みがオーストラリアで治療できた、というのは
そういう事情から来ています。

熊沢教授は痛みの研究では有名な方なので、そういう海外の事情にとても詳しくて、
なんとかして長く続く慢性疼痛の患者さんを救おうとして、そのセンターを作りたいと思っていらしたんですが、まだ日本には、 長く続く慢性の痛みが、
もともとの疾患を離れて、違う独立した病気である、という概念がありません。
(海外でもわかってきたのはここ10年ほどのことです。
脳のイメージスキャンが発達して、痛みを感じている患者さんが、本当に、精神的なもので痛いのではなくて、 実際に脳の機能異常で痛いんだ、ということが画像で捉えられるようになってからのことです。
そこで、アメリカ議会では、2001年からの10年を、痛みの10年として宣言しました。)

さらに、日本の医療は縦割りで、GP(general practioner 専門の診療科目にとらわれず、 患者さんをまず最初に診療してくれる医師)がいません。
この各科が連携プレーをとって治療にあたる、というシステムをつくるということがとても難しいのですね。

慢性疼痛には、抗うつ薬や抗痙攣薬や抗てんかん薬など、精神科で使われる薬物で治療することが多いのですが 精神科では疼痛の治療の教育がありませんので、今日本の精神科にいっても、 痛みできちんとした治療を受けられるところは少ないですね。。。

いかんせん慢性痛という病気自体も、社会的認知を受けていないので、学際的痛みセンターについて、 必要性が医療関係者の間でもなかなかわかってもらえないので
痛み学センターを作りたい、と思っているのは、熊沢先生をはじめ、生理学の痛みを研究している先生や、 整形や精神科の一部の先生には実はいらっしゃるのですが、
なかなか社会的に認知されない、予算もつかない、他の診療科の先生から応援を得ることが難しいなど、お医者さまの間同士でも、まだ新しい試みなので、きちんとした施設をつくるのは、 大変な運動です。

長くなりましたが、そのため、私は、世の中に、
慢性疼痛と言う病気が存在するんだ、
それは患者の精神的なものではなくて、患者は確かに痛いんだ、
痛みを感じる神経が可塑的変容を起こしているもので、大変科学的な、
ちゃんとした病気なんだ、ということを
患者の立場から、
実際に海外の進んだ医療で治療してよくなったという
自分の経験をもとにしてさまざまな機会に、自分にできるだけの記事を書いたり、公開シンポジウムでスピーチさせていただいたりして、素人なりの形で、その先生方をお手伝いさせていただくことになりました。

ですので、たとえば、私がお医者さんでもないのに
医療関係者でつくられているブログに痛みの話題が出たときに、
しゃりしゃりでて自分の意見や体験を書き込んだりするのも、
自分の出来る限りの精一杯の努力をして、
慢性疼痛、という病気の存在と治療の可能性について、
学際的痛みセンターを日本にも作る運動について、
医療関係者と一般の方々に知ってもらうという目的でやっていることです。

私のサイトのほうは、情報のページで医療の記述は、
素人むけに易しく、かなりはしょっていたりはするのですが、一応医大の先生方に少なくとも間違っていないかどうか、チェックしていただいています。

なぜ、学際的痛みセンター(総合的な疼痛外来)
が患者さんにとってひつようなのか。。



慢性疼痛というのは、いったいどういう病気なのか。。。


つづきは、また明日、お送りしますね。

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by elly_mylove | 2005-05-04 08:22 | メインサイトについて